西谷先生の功績

※内閣総理大臣賞受賞時の資料を編集したものです

功  績  調  書

本   籍  高知県高知市朝倉

現 住 所  高知県土佐市新居2829

氏  名  西谷(にしたに) 英雄(ひでお)

生年月日  大正15年1月1日  87才

(平成25年11月1日現在)

1  性   行

組織力、統率力に優れ、明解な理論と説得力でリーダーシップを発揮する。高知県における知的障害者教育の先進的、頭脳的役割を担った。誠実にして勤勉、特別支援教育の発展に寄与し人望が高い。

 

2  主な功績・職歴概要

※まず左欄の功績を記載した後、その根拠となる職歴を右欄に記載

功   績

職   歴

昭和26年に小学校の特殊学級の担任となり、卒業生の進路を拓くため、中学特殊学級を高知県内で初めて作った。また、中学特殊学級卒業後に就職できない者のために高等部に代わる教育をはじめた。その後、知的障害児の自立を目指して、公立学校を退職し、私財で四国初の私立高等養護学校(光の村養護学校)を開校させ、以来、私立学校の理事長及び校長として15年以上勤務し、知的障害児教育の基礎を作った。適職分析を軸にして作った教育課程で、多くの分野で技術教育を展開し、光の村養護学校土佐自然学園高等部卒業生の就職の可能性を高めるとともに、昭和50年には専攻科を開設、昭和58年には中学部を開設し、8年制の養護学校にした。

さらに、関東圏に6年制の光の村養護学校秩父自然学園を開設した。

高知市立旭小学校教諭(特殊学級)

12年(S26年4月~38年3月)

光の村養護学校長

     10年(S44年4月~S46年3月)

(S53年4月~S61年3月)

光の村養護学校土佐自然学園校長

5年(S61年4月~H3年3月)

学校法人光の村養護学校理事長

7年10ケ月(S47年9月~S55年6月)

学校法人光の村学園理事長

27年7ヶ月(S61年4月~現在)

高知県における「知的障害児特殊学級」の創成期の担任として先導的役割を果たし、指導面では知的障害者の適職群を抽出分析して、昭和30年代初めに、カリキュラムの基礎資料「高知プラン」を作る仕事の中心的な役割を果たしたことも全国的に知られている。また、高知市立養護学校設立運動の中心的な力となった。 高知市立旭小学校教諭(特殊学級)

12年(S26年4月~38年3月)

 

高知市立養護学校教頭

3年5ケ月(S38年4月~41年8月)

卒業後の就職者のための通勤寮や更生施設などの施設づくりを行い、更に未就職の卒業生を就職へと進める教育施設として、千葉市に千葉光の村授産園、東京都江戸川区に東京光の村授産学園、神戸市に神戸光の村授産学園を開設して、知的障害児の技術教育の必要性を全国に広めた。

財団法人高知県精神薄弱者職業補導協会理事

9年2ケ月(S36年1月~45年3月)

社会福祉法人光の村常務理事

47年2ヶ月(S41年8月~現在)

社会福祉法人首都圏光の村理事長

(S63年4月より現在退任)

社会福祉法人東京光の村理事

(H17年4月より現在退任)

 

3  事  項

小学校に新設された特殊学級の担任となり、昭和30年には卒業生の進路保障するために中学特殊学級をつくったが、昭和33年4月中学校特殊学級卒業生のなかに就職できない人が2名いたので、その卒業生のために昭和34年4月に代用高等部の場をつくり紙箱製造を始めた。これが子供たちの自立する人生を生み、光の村を生み出すこととなり、「私立の養護学校をつくるなどとは、狂気の沙汰」と言われながら光の村養護学校をつくった。なお、昭和30年代初めに、カリキュラムの基礎資料「高知プラン」を作る仕事の中心的な役割を果たしたことも全国的に知られている。

昭和44年に開校した四国初の光の村養護学校では、適職分析を軸にして作った教育課程で技術教育を展開した。その展開は知的障害教育の新境地を拓き、県内で新地場産業を開くことに発展した。しかしながら昭和50年代になって、心身の歪みを持つ繁栄時代の子供が多く入学する様になると、豊かな時代に育ち、取り落してきた「心と体の粘り強さ」を先ず育てる為に、有酸素運動を中核とする、新カリキュラムを組み、その上に「くらし・からだ・しごと・ことば」の全人教育を展開することにした。こうして、知的障害の子供たち全員が自活することを目標に掲げる授業が展開される。特によいものを作り、良い態度で取り組むことが最良の教育につながるという考えのもとに、職業訓練を徹底し自立する力の育成に務めた。

平成に入ってその成果は着実に上がり、光の村養護学校卒業生の就職率は60%台をキープするようになっている。全国の養護学校卒業生の平均就職率が昭和50年代以降低迷しているなかで、特筆すべき教育成果であると考える。

光の村創始者の西谷英雄氏は、就職できない卒業生の再教育から始まり、成長する子供の後を追いかけて学校をつくり、施設をつくり、工場をつくり、広域福祉圏を形成するに至る。このように知的障害者が適材適所に生きる人生を開く広域福祉圏を組織し、より確かな生涯教育をつくるようにしたその功績は誠に大である。

光の村の子供たちは全寮制の教育のなかで見違えるように成長し、中学部の卒業旅行は平成6年より足摺岬から室戸岬まで土佐湾に沿って170km以上を数日かけて歩き抜くようにして項在に至っている。また、高等部の卒業旅行は「光の村養護学校秩父自然学園」と「光の村養護学校土佐自然学園」が合同で宮古島トライアスロン〈遠泳3km、自転車走行155km、マラソン42.195km)を3日に分けて全員が挑戦している。

毎年秋には全校生徒が200kmの室戸サイクリングを実施するほか、地域で開催されるイベントにも積極的に参加して和太鼓の演奏などを披露している。

私学である光の村養護学校土佐自然学園が、平成7年に保健体育部門で、平成11年には光の村の作業教育が認められ博報賞特殊教育部門で、平成12年にボランティア部門(和太鼓、平成13年に室戸サイクリング、平成14年・15年にスポーツ部門で高知県教育委員会から高知県児童生徒文化賞を受賞し、更に平成15年にも学校安全度良校として高知県教育委員会・行政法人日本スポーツセンター高知県支部長から、平成16年には学校安全優良校として文部科学大臣表彰、平成17年には学校安全優良校として内閣総理大臣賞を受賞した。これは光の村における教育実践活動が社会的にも高く評価されていることを示すものであると考える。

このように50年の永きにわたって西谷英雄氏が我が国の教育界、特に特別支援教育部門において尽力した功績は顕著である。

 

昭和28年 高知市優良教員表彰

昭和38年 読売教育賞

昭和38年 精神薄弱者育成会四国大会長表彰

昭和41年 全国精神薄弱者育成会表彰

昭和45年 高知県精神薄弱者育成会表彰

昭和47年 土佐市市民賞

昭和58年 吉川英治文化賞

平成元年  毎日社会福祉顛彰

平成10年 文部大臣表彰〈特殊教育120年記念教育功労)

平成11年 全日本特殊教育研究連盟理事長表彰(50周年記念大会特別功労賞)

平成20年 高齢・障害者雇用促進表彰受賞(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構)

平成20年 高知県功労者表彰受賞(知事表彰)

平成21年 「ペスタロッチー教育賞」(広島大大学院教育学研究科主催)

 

≪主要著書・論文・文集など(発行年月/タイトル/発行所)≫

 

昭和28年 精薄児社会的不適応児の取り扱い方に関する研究「むつかしい子供の教育」 旭小学校
昭和30年 精薄者の適職群の分類的研究に関する研究資料「精神薄弱者における適職群の研究」 旭小学校
昭和33・34年 精薄者の適職群の分析的研究資料「適職群の分析一覧表」(共同研究) 高知県教育委員会
昭和37年 精薄教育実践資料「精薄教育におけるミニマムエッセンシヤルズの研究I」 高知県教育委員会
昭和38年 精薄教育実践資料「精薄教育におけるミニマムエッセンシヤルズの研究Ⅱ」 高知プランの基本的性格とその展開」 高知県教育委員会
昭和39年 精薄教育実践資料「精薄児教育における音楽の指導」 高知市立養護学校
昭和40年 特殊教育資料「高知の特殊教育」 高知県教育委員会
昭和41年 精神薄弱教育実践講座を共同執筆 日本文化科学社
昭和59年 「もうひとつの教育」 学習研究社

その他に精神薄弱教育誌に執筆した研究論文あり

※精神薄弱・精薄は、現在知的障害と読み替える